食事介助の留意点とは?ご高齢者の誤嚥や事故を防ぐサポート方法

食事介助は、自力で食事を摂ることが難しい方に対して、安全かつ快適に食事を楽しんでもらうためのサポートです。単に食事を口に運ぶだけでなく、環境設備や準備、食後のケアなど幅広い内容を含みます。
適切でない介助や、事前の段取りを怠ってしまうと、誤嚥や窒息といった命に関わる重大な事故につながる可能性もあります。利用者に安全に食事を楽しんでもらうためには、食事介助の留意点を介助者が認識しておくことが大切です。
本記事では、食事介助前の注意点と食事介助の際に押さえておくべきポイントを紹介します。準備する際の留意点と介助の際に押さえておきたいポイントもあわせて解説します。
食事介助における留意点
利用者に食事介助するときの留意点は、主に以下の8つです。
● 正しい姿勢をとる
● 目線を合わせる
● 食事の最初は少量から
● 飲み込んだことを確認する
● 食事の温度に注意する
● 食後の口腔ケアと摂取量を確認する
● 食べるペースを要介護者に合わせる
● 食事時間を適切に管理する
利用者の症例や状態に応じた留意点もあわせて紹介します。
正しい姿勢をとる
食事介助で気をつけないといけないことは、食べ物や唾液が気管に入ってしまう誤嚥のリスクを最小限に抑えるために、利用者に適切な姿勢をとってもらうことです。
椅子とテーブルの場合は、床にかかとがしっかりつき、背もたれにまっすぐ座っている状態にします。椅子の高さが調整できないときは、足台を置き、足が浮かないようにしましょう。
テーブルは座ったときに、肘が90°に曲がる程度の高さにくるようにします。上半身はあごを引いてもらい、少し前傾姿勢になる状態にしておくと誤嚥の可能性が下がります。
車いすの場合は、フットサポートを上げて足が床につくようにし、背中にクッションなどを入れて前傾姿勢になるように支えましょう。リクライニングできる場合は、背もたれを45〜80°に調整し、利用者に負担がかからないようにします。
ベッドの場合は、背もたれを45〜80°くらいに調整し、膝の下にクッションを挟んで、体のバランスを安定させます。また、クッションや枕を頭の後ろに置いて、首を少し前傾させると誤嚥の可能性を下げられます。
正しい姿勢を調整するときは、必ずコミュニケーションを取り、利用者にとって負担がかからない姿勢か確認することが大切です。
目線を合わせる
介助者が立ち上がったままで介助すると、利用者を見下ろすことになるため、威圧感があります。介助者も椅子に腰かけ、利用者と目線を合わせるようにしましょう。
また、むせた場合などにすぐ対応できるよう、横に腰かけます。利用者に麻痺症状がある場合は、麻痺がない側の位置に座ります。
食事の最初は少量から
食事を提供するときは、ひと口の量が多くなりすぎないように注意しなければなりません。ひと口の量が多いと、誤嚥や消化不良の原因になってしまうためです。
ひと口の適量を知るために、最初は少量から提供します。スプーンの先端に食事をのせて提供すると、舌の真ん中に食事がのりやすいため、咀嚼しやすくなります。
また、最初のひと口は白湯やお茶・みそ汁などの水分から提供することが大切です。水分を先に摂ることで、口の中が潤って嚥下しやすくなるため、むせにくいです。また、胃酸の分泌が始まることでその後の食事を受け付ける準備をするため、消化しやすくなります。
誤嚥しやすい利用者の場合は、食事のなかの水分にとろみ剤でとろみをつけてから提供しましょう。
飲み込んだことを確認する
口腔内に食べものが残っている状態で次のひと口を提供すると、誤嚥や窒息のリスクが高まります。口に食べ物を運ぶときは、必ず口腔内に食べものがなくなったことを確認してから、次のひと口を運ぶようにしましょう。
飲み下せたかどうかの判断は、のどを目視して確認します。片側に麻痺がある利用者の場合、麻痺側に食事が残ってしまうことがあるため、より注意が必要です。
食事の温度に注意する
食事が熱いと、口やのどの粘膜を傷つけてしまうため、提供する前にしっかり温度を確認しましょう。適温は料理によって異なりますが、食べる人の体温と20度前後差があると美味しいと感じられます。
しかし、やけどの危険があるからといって、本来温かい状態で提供する食事を完全に冷ましてから提供するのも避けましょう。
適温でないと美味しさを感じづらくなり、食事が楽しめなくなってしまうため、温かいものは温かく、冷たいものは冷たい状態で提供します。
また、温かいものと冷たいものを繰り返し食べると、嚥下反射神経が刺激され、誤嚥のリスクを下げられます。同じものばかりを提供せず、さまざまな食事を交互に提供してください。
食後の口腔ケアと摂取量を確認する
誤嚥予防のために食後は口腔ケアを行い、どれくらい摂取できたか確認してください。
口腔ケアは、利用者の状態に合わせて、歯ブラシや舌ブラシ・口腔ケア用のスポンジ・糸ようじなどを使って行います。利用者が自分でできるものに関しては自分で行ってもらい、介助者は仕上げでサポートしましょう。利用者が義歯を使用している場合は、義歯の洗浄も忘れず行います。
摂取量の確認は、主食・主菜・副菜それぞれ食べた割合を記録します。むせてしまった食材や食べにくい食材も備考として記録しておくようにしましょう。
食べるペースを要介護者に合わせる
急いで食べさせると誤嚥の危険性が高まり、危険です。通常よりもスローなペースで提供し、利用者を急がせないよう気をつけましょう。
また、残さずに食べさせることにこだわらず、体調や献立への好き嫌いも考慮し、楽しく食事ができるよう心がけます。
食事時間を適切に管理する
毎日同じ時間に食事を提供することで、利用者の生活リズムを整えられます。また、1回の食事時間が長すぎると、利用者の疲労や集中力の低下を招き、誤嚥のリスクを高めます。時間は、30分程度を目安にしましょう。
時間中に完食できず食事量が少ない場合は、栄養補助食品を活用したり、間食の時間を設けて回数を増やしたりして、栄養摂取量を調整してください。
食事介助を行う前の注意点
介助を安全に行うためには、事前の確認と準備が重要です。
事前確認や段取りをしっかり行うことで、事故や怪我のリスクを減らせるだけでなく、利用者の生活リズムを整えられるため、集中力を高め、食事を楽しんでもらえます。
以下では、介助者が事前の留意点を確認し、準備すべきことを解説します。
体調・意識の確認
利用者の体調に問題がないか、必ず確認してから食事を提供することが大切です。
体温や血圧などのバイタルを測定し、利用者に声かけをして体調を聞きましょう。体調に異変があるときは、無理に食事は摂らず、水分補給や消化のよいものに変更し、体調が回復するのを待ちます。
排泄を済ませる
体調に問題がないことがわかれば、食前に排泄を終わらせます。食事中にトイレに行きたくなってしまうと、食事から意識が離れてしまうためです。とくに食欲がない利用者や認知症の利用者の場合、途中でやめてしまうと、再開させるのは容易ではありません。
また、食事と排泄のリズムは密接に関係しているため、食前に排泄するリズムを習慣づけることで、利用者の生活習慣を整えられます。
ただし、前もって排泄を終わらせていても、食事中にトイレに行きたくなることがあるため、その場合は適宜対応しましょう。
手・口の清潔を保つ
利用者の手・口を清潔に保つことは、感染症や誤嚥性肺炎の予防につながります。
また、口腔ケアは食欲増進や味覚の維持、口腔機能の向上効果も期待できます。食前に歯磨きや舌ブラシなどで口腔ケアを行いましょう。利用者が自分で口腔ケアが行えない場合は、介助者が行ってください。
口腔ケアが終わったら、嚥下体操や唾液腺をマッサージします。介助者が唾液腺マッサージを行う場合は、必ず利用者の反応を確認し、不快感や抵抗感が強い場合は無理して行わないでください。
食事環境を整える
食事するときにテレビがついていたり、人がたくさんいたりする場所の方がよい人もいれば、静かな場所でないと集中できない人もいます。利用者の好みに合わせて環境を選びましょう。
食事の場所に到着したら、利用者にエプロンをつけます。エプロンをつけるときは、必ず声かけし、首周りが苦しくないか確認してください。
エプロンの裾はトレイの下に挟むか、テーブルの下に垂らしておくと、食事をこぼしてしまっても利用者の衣服や寝具を汚さないで済みます。
食事内容・配膳の確認
環境が整ったら配膳を行います。このとき利用者に食事全体が見えるように置き、献立を伝えて、これからどんな食事をするか理解してもらいましょう。
今から食べるものを実際に目で見て確かめ、耳で献立の内容を知ることで、食欲が増し、食べることに専念しやすくなります。誤嚥を防ぎやすくなるだけでなく、食事を楽しめるでしょう。
また、配膳されたら、その食事が利用者のもので間違いないか必ず確認します。
利用者によって細かさや柔らかさ、塩分などが調整されているため、間違ったものを提供してしまうと、誤嚥のおそれや病状を悪化させる可能性があります。必ず本人確認とスタッフのダブルチェックを怠らないようにしましょう。
既往歴の確認
配膳が終わったら、利用者の既往歴を確認します。既往歴に麻痺や三叉神経、顔面神経、舌下神経、迷走神経などの神経症状があると、嚥下が難しく、通常の食事介助より注意が必要になるためです。
利用者の既往歴を確認し、献立や食事の姿勢、使用する食器などに問題があれば、この時点で変更しておきます。
食事前に水分を摂る
いきなり食事を提供するのではなく、水分を摂ってから食事を提供することが重要です。食前に白湯やお茶・水などを飲むと、唾液の分泌が促進されて嚥下しやすくなります。
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食事介助をする際に押さえておきたい基本ポイント
食事介助の仕方によっては、利用者が苦痛に感じることがあります。食事が楽しめなくなると生活リズムに乱れが生じ、栄養不足になったり、生きる活力を失ったりすることがあります。
食事を楽しんでもらうためにも、食事介助をする際に押さえておきたい基本のポイントを確認しましょう。
食事介助の目的を理解する
食事介助の目的は、ただ食べさせることではありません。自分で食事を摂ることが難しい方に、安全かつ楽しんで食事を摂れるよう手助けすることが目的です。
目的を理解していれば、感染症や誤嚥性肺炎のリスクを減らすために手・口の清潔を保つことや、誤嚥を防ぐための正しい姿勢や嚥下マッサージの大切さがわかります。
また、利用者を急かせて食べさせることや、食事内容を説明せずに機械的に食べさせることは避けるべきだということも理解できるでしょう。
コミュニケーションを大切にする
食事介助中はただ食事を口に運ぶだけでなく、献立の説明も含め、笑顔で話しかけるようにしましょう。コミュニケーションを取ると、利用者がリラックスでき、食事を楽しめます。
ただし、口の中に食事が残っているときに返事を促すような会話をしてしまうと、利用者が焦ってしまい、誤嚥につながる危険性があります。利用者の状態をよく観察し、適切なタイミングで話しかけましょう。
ご高齢者の食事の特徴を把握する
食事介助をする際に、一般的な食事とご高齢者の食事の違いを把握しておかないと、利用者に負担をかけるものを提供してしまったり、利用者を急がせるようなペースで提供してしまったりすることがあります。
高齢になると、舌やのどの筋力が衰え、食事を飲み込むのが難しくなっていきます。歯が欠損している場合は、うまく咀嚼するのも難しいでしょう。
硬い食べ物はのどを通りにくいため、しっかり咀嚼しなくても食べられるやわらかい料理が好まれる傾向にあります。
また、高齢になると唾液の分泌量が減り、パサパサと乾燥した食材は飲み込みにくくなるため、水分の多い食材や、とろみのついた料理を選ぶことも大切です。
食材の調理方法には、食材を細かく刻んだ「きざみ食」や、ミキサーにかけペースト状にした「ミキサー食」などがあり、利用者の状態に合わせて適切なものを選びます。
食材の形を残した状態でやわらかく仕上げた「ソフト食」は、ミキサー食と違って一般食に近い見た目のため、食欲が出やすくなります。
ただし、ソフト食の提供には手間と時間がかかるため、施設内で調理せずに調理済食材提供サービスを利用するのがおすすめです。
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まとめ
利用者の健康を維持するには、食事介助の事前準備や介助の正しい方法・目的を理解しておくことが大切です。また、利用者の状態に合わせて、食べやすい食材・調理方法を選んで提供しましょう。
しかし、利用者ごとに食材を選び、調理するのはとても大変です。介護施設や家庭内での食事介助の献立に悩まれている方は、ぜひ「フレッシュアンドベストタイム」にご相談ください。
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