ソフト食とは?ミキサー食との違いやメリット・デメリットを紹介
施設で提供する食事には、一般食以外にもソフト食やミキサー食、きざみ食など種類があります。利用者に食事を楽しいと思ってもらいやすい食事はどれなのか、わからない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ソフト食とほかの食事との違いや、メリット・デメリットについて解説します。ソフト食を取り入れる効率的な方法も合わせて確認しましょう。
ソフト食とは
ソフト食とは、食べやすいように柔らかく調理された食事のことです。硬いものを噛む力や、飲み込む力が弱い方に適しています。柔らかく簡単にすりつぶせるため、歯がなくても食べられるところが特徴です。
ソフト食は、以下で紹介するミキサー食やきざみ食、ムース食と混在されやすいですが、正確には異なります。それぞれとの違いをみてみましょう。
ミキサー食との違い
ミキサー食とは、食材をミキサーにかけてペースト状にしたものです。ソフト食も、ミキサー食と同じように食材をミキサーにかけます。ソフト食は再度固め直したものですが、ミキサー食は固め直さず、ペースト状のまま提供するものです。
スープやおかゆのような見た目ですが、盛り付け方を工夫することで彩りを加えられ、食欲がそそられます。ソフト食では上手く飲み込めない方におすすめの食事です。
ペースト上のミキサー食なら、食材の栄養素を効率的に吸収できます。吐き戻しがちな方でも、栄養素を体内に取り込みやすくなるでしょう。噛みにくさから食べられるものが限られ、栄養が偏りがちな方の問題も解決できます。
きざみ食との違い
きざみ食とは、食材を細かく刻んだものです。一つひとつが細かいため、大きな口を開けにくい方に適しています。しかし、ソフト食のように柔らかく調理していないため、飲み込む力の低下した方への食事としてはおすすめしません。咽頭に残りやすいため、誤嚥を引き起こす可能性があります。
誤嚥により食べ物を気道に入れてしまうことで、肺炎など命に関わることもあるため、大変危険です。きざみ食を与える場合は、利用者に適しているかを確認してから提供しましょう。
ムース食との違い
ムース食とは、ミキサー食とソフト食の中間に位置する食事です。ペースト状のミキサー食ほどドロっとはしておらず、程よい弾力があるため、食感を与えられます。寒天やゼラチンを使用して固めたものです。
ムース食は介助者にとって食べさせやすいメリットがあります。ミキサー食は口に運ぶまでにこぼれやすいところがありますが、ムース食ならこぼれにくいため、掃除の負担を減らせるでしょう。また、高齢者も自分で食べやすいため、食事に対するストレスも軽減します。
ソフト食のメリット・デメリット
ソフト食を介護施設で取り入れるべきかどうかの判断基準になる、ソフト食のメリットとデメリットを紹介します。施設利用者の食事事情や、提供者の負担などを考えながら確認しましょう。
メリット
ソフト食はミキサーにかけた後に片栗粉などを使用して固める、もしくはミキサーにはかけずに柔らかく煮込むなどして作る調理方法から、以下のようなメリットがあります。
食材の形を保ちやすい
柔らかく煮込んで仕上げるソフト食であれば、食材の形のあるものを提供できます。ムース食やミキサー食であれば、味や彩りは異なりますが液体状になるのはどれも同じです。しかし、ソフト食なら一般食のような見た目のため、食欲も出やすくなります。
見た目が同じミキサー食やムース食だと食べる楽しみが湧きにくいですが、ソフト食なら食べる楽しみを維持できるでしょう。
食欲が湧きやすい
見た目が一般食に近いソフト食であれば、食卓の雰囲気も変わりにくいため、食欲が湧きやすいところもメリットです。ひとつのテーブルを複数人で囲んでいても、介護食のイメージが強い料理だと、気分が沈んで食事が進まない方もいるでしょう。
しかし、ソフト食であれば通常の食事と違いがわかりにくいように工夫できるため、明るい食事の時間を提供できます。食事は目でも楽しむものです。ソフト食であれば介護食のマイナスなイメージも払拭できるでしょう。
飲み込みやすい
ソフト食はきざみ食のように、それぞれの硬さのバラつきがなく咽頭に食べ物が残ることも少ないため飲み込みやすく、誤嚥のリスクは少ないでしょう。介助者も安心して食事を見守れます。
ソフト食は片栗粉などを使って固めるため、口の中ですりつぶしても食べ物がひとつにまとまりやすく、飲み込む力が弱い方でも楽に飲み込めます。食事中の危険を減らせるところも、ソフト食のメリットです。
近い意味合いで使われる「介護食」もあります。同じく介護の現場で導入されている食事のことを指し、こちらも種類が豊富です。こちらの記事では介護食の種類について説明しているので、あわせてご覧ください。
デメリット
メリットの多いソフト食ですが、一般食とは異なるため、以下のようなデメリットがあります。しかし、安全に食事を提供するには許容する必要があるでしょう。
時間をかけて調理する必要がある
ソフト食は一般食とは異なり、ミキサーにかけて固め直す、もしくは長時間煮込むなどの手間が増えるため、調理に時間がかかります。きざみ食やミキサー食と比べても時間がかかるでしょう。
そのため、多くの人件費や光熱費がかかります。また、片栗粉など固めるための材料が必要になるため、食材費もかかりがちです。
人件費や食材費などコスト面が負担であれば、食事以外で削減できるところがないかを確認してみましょう。施設運営の無駄を減らすことで、ソフト食を取り入れることのデメリットをなくせます。
食材本来の満足感は得られにくい
ソフト食は食材によって食材らしい食感が消えるため、食事の満足感は一般食よりも得られにくいでしょう。食感がこれまでと違うと、苦手に感じる人もいます。
ソフト食が苦手の人には固め直す調理法ではなく、煮込む調理法を用いて、煮込み時間を調整してみましょう。食べる人にとって安全であるならば、一般食より柔らかいですが、少し食感を残せば満足してもらえることもあります。
ソフト食を作る際のコツ
ソフト食は、ただ柔らかくすればいいのではありません。安全に食べてもらうためには、調理時に押さえておくべきポイントがあります。ひとつずつ確認しましょう。
栄養バランスを大切にする
ソフト食は一般食よりも栄養バランスを大切にしなければいけません。食材の中には、長時間煮込むと栄養素が流れてしまうものがあります。食材の組み合わせによっては、栄養が偏ってしまったり足りなくなったりする可能性があるため、工夫しないと健康的な食事を提供できません。
ソフト食を調理する際は、食材の組み合わせを一般食以上に気を配る必要があります。また、基本の3食だけでは栄養バランスを保てない場合は、間食も上手に取り入れていきましょう。
繊維の少ない食材を選ぶ
食べやすいか、柔らかくしやすいかなども重視する必要があるため、ソフト食は繊維の少ない食材を選びましょう。肉はミンチ肉にする、野菜は柔らかくしやすい食材を使うのがおすすめです。柔らかくしやすい食材は、
ジャガイモ
にんじん
トマト
ナス
ピーマン
大根
キャベツ
白身魚
卵
豆腐
バナナ
いちご
りんご
などがあります。しかし、繊維が含まれている食材は使えないというわけではありません。繊維が多い食材を使う場合は、あらかじめ繊維を細かく切ってから使うなど、手を加えると柔らかくなります。
また、皮ごと食べられる野菜でも、皮が硬いものはむいて使うといいでしょう。
舌で押しつぶせる硬さにする
ソフト食の柔らかさの目安は、舌で押しつぶせる程度の硬さです。煮込むだけでは柔らかくなりにくい食材は、ミキサーにかけてから煮込む、煮込んだ後にすりつぶしてから形を作るなど工夫するといいでしょう。
ただし、舌で押しつぶせる硬さといっても個人差があります。食べる人によって、柔らかさの度合いを変えるなどの調整が必要です。
味に変化をつける
ソフト食は一般食のように食感や舌触りの違いを楽しむことはできません。そのため、味に変化をつけて楽しめるように工夫しましょう。味にアクセントをつけるために、香辛料などを利用するのもおすすめです。出汁も上手に使います。
ただし、塩分の使い過ぎには注意しましょう。高血圧などの症状を引き起こす可能性があります。
盛り付けにこだわる
目でも楽しんでもらえるよう、盛り付けにもこだわりましょう。料理そのものの形の整え方や彩りを工夫します。また、料理だけでなく、食器やランチョンマットなどにもこだわるのがおすすめです。和・洋・中と、料理に合わせて使い分けるといいでしょう。
さらに、季節の草花を飾りとして料理に添えたり、フルーツを料理の彩りのアクセントとして添えるなど、食欲をそそるような見た目にもこだわります。
飲み物にとろみをつける
飲み込む力が弱まっている人にとっては、サラッとした飲み物は飲みにくいものです。そのため、飲み物にもとろみを付けて、飲み込みやすく工夫しましょう。水溶き片栗粉を使うと、簡単にとろみを付けられます。
ただし、とろみを付けすぎないように濃度には気を付けましょう。とろみが強いと誤嚥を引き起こす場合があります。日本介護食品協議会では、以下のようによろみの強さが定義されています。
とろみの強さ1:フレンチドレッシング状
とろみの強さ2:とんかつソース状
とろみの強さ3:ケチャップ状
とろみの強さ4:マヨネーズ状
飲み込む力に合わせて、どの強さで仕上げるかを確認しましょう。
出展:日本介護食品協議会
また、食べ物でも喉越しの良さは重要です。野菜にも、飲み物と同じようにとろみをつけるのがおすすめです。肉や魚なら適度に脂身があるものを使用しましょう。脂身が多すぎるのは健康を損なう可能性があるため避けるべきですが、適度な脂身があると喉越しがよくなります。
介護現場でソフト食を取り入れるには
介護現場にソフト食を取り入れる方法には、施設内で調理する方法とサービスを利用する方法の2種類あります。それぞれの取り入れ方をみてみましょう。
調理に必要なスペースや器具を整える
できたてを提供したいなら、施設で調理する方法がおすすめです。施設内で調理するなら、食べる人に合わせて柔らかさを変えられます。個別対応ができるところが施設内調理のメリットです。
しかし、ソフト食は手間も調理時間もかかります。また、一般食も施設内で調理しているなら、ソフト食を調理するためのスタッフやスペースを確保する必要もあるでしょう。ソフト食の調理経験のあるスタッフがいなければ、研修期間を設けるなども必要になります。
スペースやスタッフだけでなく、ソフト食を作るための器具も別に必要です。ソフト食を作るためには以下の器具を用意しましょう。
ミキサー
食材を液体状にするための器具
繊維のある食材を調理する際に使用する
フードプロセッサー
ミキサーと同じく、食材を液体状にするための器具
ミキサーよりも粗目に仕上がる
食感を少し残したい場合に使用する
すりこぎ・すり鉢
ごまなど細かい食材をさらに細かくするための器具
繊維を断ち切るためにも使用できる
マッシャー
茹でた食材を押しつぶすための器具
多くの食材で使用できる
蒸し器
肉や野菜などを蒸すための器具
煮込むのと同じく食材を柔らかくできる
圧力鍋
食材の煮込むための器具
普通の鍋よりも調理時間を短縮できる
ソフト食を効率的に調理するためには、すべての器具を揃えましょう。
調理済み食材提供サービスを利用する
一般食と分けてソフト食を調理するスペースやスタッフを確保できないなら、調理済み食材を提供しているサービスを利用するのもひとつの方法です。サービスを利用すれば、手間をかけずにソフト食を用意できます。
調理済みのソフト食は、冷凍・冷蔵・常温保存と、商品によって保存方法が異なるため、施設に適した保存方法のタイプを選びましょう。
調理済み食材提供サービスを利用するなら、以下をポイントに選ぶのがおすすめです。
管理栄養士が監修しているか
ユニバーサルデザインフードに準じているか
継続できる価格であるか
栄養バランスがとれているか、食べやすさを考えられているか、予算内に収まるかなどをチェックしてどのサービスを利用するか検討しましょう。
こちらの記事では、高齢者の食事について解説しています。食事で気をつける点や食べやすいものも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
ソフト食は一般食以外のほかの調理方法と異なり、食材の形を保ちやすい、食欲が湧きやすい、飲み込みやすいなどのメリットがあります。硬いものを噛む力や飲み込む力が弱い方に適した食事です。
しかし、ソフト食は手間と調理時間がかかります。そのため、一般食も調理している施設なら、ソフト食を調理するスペースやスタッフを別途用意することが必要です。用意するにはコストがかかるため、難しければ調理済み食材提供サービスを利用しましょう。
調理済み食材提供サービスはスペースやスタッフを用意する必要がなく、手間をかけずにソフト食を用意できます。サービスを検討するなら「フレッシュアンドベストタイム」がおすすめです。「フレッシュアンドベストタイム」は、お腹だけでなく心も満たせる料理を提供してくれます。
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