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高齢者が食欲不振で寝てばかりになる原因は?リスクや対策を解説

高齢者が食欲不振で寝てばかりの状態が続くと、転倒や脱水症状のリスクが上がり、日常生活に支障をきたす場合があります。こうした原因は加齢のみならず、さまざまな疾患や生活習慣などの変化、薬の副作用が考えられるでしょう。

高齢者が、食欲不振から寝てばかりの状態になってしまうことは少なくありません。こうした状態を改善したいと思っていても、具体的に何をすべきなのかがわからず、悩みを抱える方も多いでしょう。

この記事では、高齢者の食欲不振の原因や、食欲不振によるリスクについて解説します。寝たきりの状態を改善するためのポイントについても取り上げていますので、ぜひ参考にしてください。

高齢者が食欲不振で寝てばかりになる原因は?

高齢者が食欲不振から寝付きがちになる主な原因は、以下の5つです。

加齢
器質的疾患
機能的疾患
生活習慣・環境の変化
薬の副作用

それぞれの原因について解説します。

加齢

高齢者の食欲不振の主要原因のひとつです。加齢にともなって体力が低下すると、若い頃には日常的に行っていた運動や活動からも遠ざかり、身体の代謝や消化機能も次第に衰えていくことから、食欲が減退する傾向があります。

とくに定年退職後は外出の機会が減り、家で過ごす時間が増えて、運動不足が進行するパターンが多くみられるでしょう。こうした運動不足は筋力の低下を招き、内臓の働きも弱まるため、食欲が失われやすくなります。

さらに、加齢によって食べ物を噛む力や飲み込む力も衰え、以前は普通に食べられていた食事が難しくなることが原因で、食欲不振が深刻化することもあるでしょう。

このように、加齢による身体の変化が食欲不振を引き起こし、栄養不足や体力低下の悪循環を生むケースが少なくありません。

器質的疾患

器質的疾患とは、体内の臓器に病気が発生した影響で食欲が低下する状態を指します。たとえば、胃癌や膵癌といった悪性疾患、胃・十二指腸潰瘍、慢性膵炎、肝硬変などの良性疾患が代表的な例です。

このような疾患が存在すると、食事を摂取しても消化吸収がうまくいかず、体が「食事は不要」と判断することがあります。その結果、食欲が減退して体重が減少します。

とくに高齢者は内臓の知覚が鈍くなることから、痛みや不快を感じにくくなるため、病気がすでに進行してから発見されることも少なくありません。悪性疾患はもちろん、良性疾患でも命に関わる場合があるため、早期発見が重要です。

「食欲がないだけだから大丈夫」と安易に考えず、異変を感じたら早めに医療機関で検査を受けましょう。

機能的疾患

機能的疾患とは、臓器に明確な異常が見られないものの、機能が低下して食欲に影響を与える状態のことです。高齢になると飲み込む機能が衰え、1回の食事量が減少し、結果として持続的な食欲低下を招きます。

また、味覚や嗅覚が鈍くなることが食欲の減退につながることも少なくありません。また近年では、新型コロナウイルス感染症対策としての外出制限が続いたことによる運動不足やエネルギー消費の減少が影響し、さらに食欲が低下する傾向が見られます。

加えて、胃腸の機能が低下すると、摂取した食べ物の消化吸収が困難になり、食欲不振が進行します。胃もたれや胃痛を感じる場合もありますが、これらの症状がない場合、食欲の低下は見逃されがちです。

検査で明確な異常が認められなくても、機能的疾患が原因の可能性があるため、注意が必要です。

生活習慣・環境の変化

高齢者にとって、生活習慣や環境の変化は食欲に影響を与える要因のひとつです。とくに、夫婦の一方が死別すると、孤独感から食欲が低下するケースがよく見られます。

夫婦ともに過ごしていた生活がひとりになることで食生活が変わり、料理への意欲が減退し、食事が簡素化されることが多いです。このような状況が続くと、食事そのものに対する関心が薄れ、食欲のさらなる低下につながるでしょう。

介護施設や老人ホームなどへの入居時も要注意です。新しい環境に適応できないことも多く、慣れない生活がストレスとなり、食欲不振を引き起こす可能性があるでしょう。

一般的に施設内では、栄養バランスの取れた食事が提供されます。しかし、食事環境が合わない場合や、慣れ親しんだ味や食習慣と異なる食事が提供されると、食欲が大幅に減退することがあります。

薬の副作用

高齢者が服用する薬のなかには、食欲に影響を与えるものが少なくありません。鎮痛剤や抗生物質といったひんぱんに処方される薬は、消化器系に負担をかけることがあり、結果として食欲不振を引き起こす場合があります。

また、抗がん剤や一部の心臓病治療薬も、食欲を抑制する副作用があるため、注意が必要です。いずれも疾患の治療には欠かせないものですが、食欲低下が続く場合には、医師に相談することが必要です。

食欲不振が続くとどうなる?

高齢者の食不振が続くことで、以下のような健康上の問題を引き起こす可能性があります。

低栄養状態
転倒リスク
脱水症状
低血糖

それぞれの問題について、詳しく解説します。

低栄養状態

低栄養状態とは、食欲不振により食事量が減り、必要な栄養素を十分に摂取できなくなることです。とくに高齢者は栄養不足が体力低下に直結しやすく、日常的な動作が困難になることが増えます。

立ち上がる・歩くといった基本的な動作でも疲れやすくなり、結果として寝て過ごす時間が増えるケースは多いです。このような生活が続くと身体の衰えが加速し、活動量がさらに減少するリスクがあります。

転倒リスク

低栄養状態が続くと、体内の筋肉量が減少して動作が不安定になるため、転倒リスクが高まります。とくに高齢者は、筋肉が衰えることでバランスを崩しやすく、日常的な動作でも転倒しやすくなるおそれがあるでしょう。

さらに、骨密度が低下している場合、転倒による骨折のリスクも非常に高くなる点に注意しなければなりません。一度骨折すると回復が遅れるだけでなく、寝たきり状態に陥る可能性もあります。

転倒は身体的なダメージだけでなく、生活の質の低下にもつながります。低栄養を防ぎ、筋肉と骨の健康を維持することが重要です。

脱水症状

脱水症状は、飲み込む力や体内の水分保持能力の低下によって起こります。高齢者は、喉の渇きに対する感覚が鈍くなる傾向にあるため、水分補給を怠ってしまうことも少なくありません。結果として体が必要とする水分を摂取できず、脱水状態に陥るケースがあります。

また、食欲不振により食事を摂らないこともあるでしょう。その場合、食べ物から得られる水分も摂取できなくなるため、脱水のリスクがいっそう高まります。

脱水は体調を悪化させるだけでなく、深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。食欲が低下している場合でも、最低限の水分補給は欠かさず行うことが重要です。

低血糖

低血糖は、炭水化物の不足により血糖値が低下し、疲労感や眠気、めまい、冷や汗などの症状を引き起こす状態です。食欲不振で食事量が少なくなったときや、不規則な食生活を続けている場合に発生のリスクが高まります。

また、糖尿病治療でインスリンを使用している高齢者は、血糖値が過度に低下しやすく、低血糖のリスクがさらに高くなります。低血糖が続くと身体機能が低下し、日常生活に支障が出ることがあるため、注意が必要です。

食欲不振を改善する4つのポイント

高齢者の食欲不振の改善を試みる際葉、以下4つのポイントを押さえることが重要です。

少量ずつ盛り付ける
環境を変えてみる
会話しながら楽しい食事にする
食べられそうなものを常備する

それぞれのポイントについて解説します。

少量ずつ盛り付ける

食欲が低下しているとき、大量の料理が目の前に並ぶと、食事が義務のように感じられ、かえってプレッシャーになることがあります。そのため、まずは少量の料理を盛り付け、食べきれるように品数を減らすことが効果的です。

たとえば、ご飯を小さなおにぎりにするなど、食べやすい形にするのもよい方法です。盛り付けた食べ物をすべて食べられたら、次の料理を追加するようにしましょう。

このように、最初から多くの料理を並べるのではなく少しずつ提供することで、食事に対するプレッシャーが軽減され、食欲を徐々に取り戻す助けとなります。

環境を変えてみる

食事環境を少し変えるだけで、食欲が改善することがあります。家族や介護者と一緒に食事をし、楽しい雰囲気を作ることで、食事がより楽しいものになるでしょう。

たとえば、ランチョンマットを赤や黄色のような暖色系に変え、食欲を刺激する彩りを添えることも有効です。外食に出かけ、新鮮な環境での食事を楽しむことも効果的でしょう。

また、食事の際に音楽を流したり、盛り付けや味見を手伝ってもらったりするのもおすすめです。料理の音や香りを感じられるため、五感が刺激され、食欲を引き出すきっかけになる可能性があるでしょう。

会話しながら楽しい食事にする

ひとりでの食事はどうしても味気なくなり、食欲が湧かないことが多いです。そのため、家族や介護者、友人と一緒に、会話を楽しみながら食事する機会を積極的に設けましょう。話をしながら食べることで、食事の楽しさが増し、食欲も自然に高まります。

また、介護施設や地域の食事サービスを利用するのも効果的な方法です。このような場所では、ほかの利用者との交流を通じて、食事がより楽しい時間になることが期待できます。

食べられそうなものを常備する

食べられそうなものを常備することで、食欲がないときでも食事を摂りやすくなります。作り置きや冷凍保存して常備しておくと便利です。

食欲が低下しているときには、喉越しがよく、消化に優れた食べ物が好まれます。具体的には、以下の食品が挙げられます。

おかゆ
雑炊
お茶づけ
うどん
そうめん
ヨーグルト
ゼリー

このような食べ物は、胃に負担をかけないため、食欲がないときでも摂取しやすいでしょう。

寝てばかりな状態を改善する6つのポイント

すぐに寝付いてしまう状態が慢性化している場合は、以下6つのポイントを踏まえて改善策を講じましょう。

積極的に話しかける
こまめに水分補給をする
服薬調整する
昼寝の時間を設ける
軽い運動を促す
食事を見直す

それぞれのポイントについて解説します。

積極的に話しかける

まずは簡単な話題でも構わないので、積極的に話しかけることが大切です。家族や介護者が声をかけることで、眠る時間を減らし、覚醒を促す効果があります。

とくに認知症の高齢者にとっては、会話を通じて脳が活性化され、傾眠症状の改善が期待できるでしょう。声かけは単に目を覚ますためだけでなく、コミュニケーションを通じて精神的な安定をもたらす重要な役割も担います。

なお、声をかけても反応がない場合には、肩を軽く揺らすなどの刺激を与えることも有効です。定期的に意識の確認を行うことで、異変に早く気づき、適切な対応が取れるようになります。

こまめに水分補給をする

脱水症状を防ぐためには、こまめに水分補給をすることが不可欠です。とくに高齢者は喉の渇きを感じにくくなり、水分摂取が不足しやすい傾向にあります。

水分が不足すると、脳の働きが低下し、傾眠につながる場合があるため、注意しましょう。また、水分補給の際は、一度に大量の水を飲ませるのではなく、少量ずつ口に含む程度の水を飲ませることが重要です。こうすることで、誤嚥のリスクを軽減できます。

水分補給のタイミングとしては、起床時や食事中、入浴前後、就寝前などが適しています。水がベストですが、お茶などで水分補給をしても大きな問題ありません。

服薬調整する

薬の副作用によって寝たきりの状態が起きているなら、医師に相談して薬の量や種類を調整してもらうことが重要です。認知症の薬や抗ヒスタミン薬、抗てんかん薬などには、眠気を引き起こす副作用があります。

服用している薬の成分や副作用を把握し、薬を飲み始めたあとに変化がないかを日常的に観察しましょう。薬を飲み始めてから傾眠が見られるようになったときや、薬の量が変わったタイミングで症状が現れた場合は、速やかに医師へ相談してください。

昼寝の時間を設ける

昼寝の時間を設けることは、脳をリフレッシュさせ、覚醒状態を維持する効果的な方法です。30分ほどの昼寝をすることで、午後の活動がよりスムーズになります。

たとえば、昼食後といった日々の生活リズムに取り入れやすいタイミングに昼寝の時間を設けると習慣化しやすくなります。ただし、昼寝の時間が長すぎると夜の睡眠に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意しましょう。

適切な時間を守りつつ、毎日の生活に昼寝を取り入れることで、よりよい体調で過ごせるようになります。

軽い運動を促す

軽い運動を行うことは、脳の活性化や覚醒状態の維持に有効です。たとえば、散歩やストレッチといった運動が挙げられます。

このような軽い運動は、血流を促進し、脳の働きを高めるだけでなく、身体機能の向上にも効果的です。さらに、ウォーキングなどの有酸素運動を1日15~30分以上取り入れることで、認知機能の低下を予防する効果も期待できます。

筋力トレーニングを組み合わせることで、筋力アップや心肺機能の向上も図れるため、週に数回ほど、腕立て伏せや腹筋などを取り入れるとよいでしょう。

食事を見直す

食欲不振で寝たきりの状態を改善するには、食事の見直しが欠かせません。とはいえ、食事の摂取量が減っているからといって、無理にたくさん食べさせることは避けましょう。高齢者は咀嚼や嚥下機能が低下しているため、誤嚥のリスクが高まります。

そのため、調理の際は食べやすいように柔らかく煮たり、適切な大きさに刻んだりするといった工夫が必要です。できるだけさまざまな品目を使い、栄養バランスのよい内容を意識するとよいでしょう。

毎日の献立づくりにはグラム計算やエネルギー管理など、多くのコストがかかります。F&BTは毎日のお食事を通して「幸せ」をお届けするべく、さまざまなサポートを行っております。

まとめ

高齢者が食欲不振から寝てばかりいる状態が続くと、体力低下や栄養不足といったさまざまな健康問題が発生します。対策としては、少量ずつの食事提供や食事環境の工夫、会話を楽しみながら食事をすることなどが効果的です。

食欲不振を改善し、寝たきりの状態から回復するためには、早期対応がカギとなります。F&BTでは、お客様が抱えるこうしたお悩みを解決できるように、さまざまなサポートを提供しています。

たとえば、弊社のクックチル食材を活用すれば、10分の湯煎で簡単にバランスのとれた食事を準備することが可能です。ほかにも、管理栄養士が献立を考え、それに即した食材をお届けするサービスも行っています。

安心・安全な食事提供をお考えなら、F&BTにお任せください。詳しくは、お電話またはお問い合わせフォームからご相談ください。

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