介護食の種類一覧!それぞれの特徴と適した食材を紹介
介護食は高齢者や介護が必要な方が無理なく食事を楽しめるよう、個人の健康状態や嚥下機能にあわせて工夫された食事のことで、食べやすさや栄養バランスが考慮されています。
本記事では、介護食の種類を紹介します。また、介護食に向き不向きな食材を紹介し、介護食をより安全に安心して食べられるよう解説します。
介護食の種類一覧
介護が必要な方にとって、食事は健康を支える大切な要素です。しかし、個々の健康状態や嚥下機能に応じて食事形態を工夫する必要があります。
以下に、介護食を種類別に分けてそれぞれの特徴や、どんな方に向いている調理法なのかなどを詳しく紹介します。
きざみ食
きざみ食は、通常の食材を小さく刻んで提供する介護食です。咀嚼機能の低下や歯がない、口が開きにくいといった状態で、飲み込む力がある方に適しています。食材を細かく切ることで、食べやすさを確保しつつ、食感や味を楽しめるのが特徴です。
また、きざみ食はきざむ大きさによって噛みやすさや食感が変わるため、個人の状態に合わせて食を楽しむことが可能です。
きざみ食には、肉や魚、野菜など幅広い食材が利用でき、栄養バランスを取りやすい利点があります。食材は柔らかく調理し、かつ適度な水分を保つことで喉を通りやすくします。
食材の形自体が残っているものが多いため、唾液の少ない方や飲み込む力が弱い方には不向きの調理法のため注意しましょう。
ソフト食(軟菜食)
ソフト食は、食材を長時間調理することで柔らかくした軟菜食をペースト状につぶして、とろみ剤で形を整えたものです。歯や歯茎で簡単に噛み切れる状態にした介護食で、咀嚼機能だけでなく飲み込む力も低下している方に向いています。
ソフト食は見た目が一般的な料理と変わらないため、介護者の食欲を保ちやすいというメリットがありますが、調理工程が多く手間がかかるというデメリットもあります。
軟菜食を作る際は野菜や肉は蒸す、煮るなどして柔らかくし、魚は骨を取り除いてほぐすことで食べやすくする工夫をするとよいでしょう。
食材を柔らかくするために、圧力鍋の使用や繊維を断ち切るといった技術も必要となってきます。ソフト食を家で作る際は、あらかじめ下調べをしてから調理を開始すると、安全性が高まります。
こちらの記事では、ソフト食について解説しています。ミキサー食との違いやメリット・デメリットも紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。
ミキサー食
ミキサー食は食材をミキサーで細かく砕き、ペースト状にした介護食です。咀嚼が難しく、飲み込みにくい方に適しています。食材の風味や栄養をそのままに、喉を通りやすい食感にすることで安心して食事を楽しめます。
ミキサー食の主な調理法は、野菜や果物、肉、魚などの食材をミキサーにかけて、口当たりのよい状態に調整するだけです。作業工程が少ないため家でも簡単に作れます。また、調味料を工夫することで、バリエーション豊富なメニューが可能です。
ただし、ミキサー食は口の中でまとまりづらいため、喉に引っかかったり、むせたりしやすい傾向にあります。とろみ剤などを使って程よい粘土にしたのち、飲み込みやすくするとよいでしょう。
ムース食
ムース食は食材をムース状に加工した介護食で、口当たりが非常に柔らかく、嚥下が困難な方に適しています。調理過程でゲル化剤を使用し食材を固形状にすることで、喉を通りやすい状態にします。ソフト食よりもやわらかい形状です。
また、ムース食は見た目を通常の料理に近づけることが可能で、見た目や味のバリエーションを持たせることができます。食材は魚や肉、野菜、果物など幅広く利用可能で、栄養価を維持しながら提供できるのが特徴です。
ゼリー食
ゼリー食はゼラチンや寒天などの凝固剤を使用して、食材や料理をひとつのゼリー状に固めた食事のことです。ゼリーのように食材を固めることで喉を通りやすく、嚥下機能が低下している方でも安全に食べられるようになります。
ゼリー食は果物を使用したデザートや、スープをゼリー状にしたものなど、メニューの幅が広く彩りも豊富です。介護者に食事に楽しみを改めて見出してもらいたい場合に、効果のある食事の方法でしょう。
流動食
流動食はスープやシチュー、ジュースのように食材を完全な液体状にした介護食です。寝たきりの方や、手術後で食事ができない方への栄養摂取法として向いています。
液体状にすることで、ものが詰まることなく喉を通りやすくなり、食べやすさを確保します。液体状のため気道に入らないよう注意しましょう。
流動食はひとによっては低栄養に陥るリスクが高まるため、栄養価の高い濃厚流動食などを合わせる必要があります。
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介護食に適した食材
介護が必要な方に提供する食事は、嚥下や咀嚼の能力に合わせて食材を選ぶことが大切です。以下では、介護食に向いている食材と向いていない食材について、それぞれ詳しく解説します。
介護食に向いている食材
介護食に向いている食材は、柔らかくて消化しやすいものが基本です。たとえば、豆腐や、脂ののった魚、肉などは比較的柔らかく調理しやすいため、介護食に適しています。
また、ジャガイモやカボチャ、カブなどの根菜類は煮込むと柔らかくなり、咀嚼が困難な方にも食べやすくなります。さらに、果物ではバナナやリンゴなど、ペースト状に加工しやすいものが向いています。
その他にも、ほうれん草やブロッコリーといった葉物野菜は細かく刻んで煮込むことで、栄養価を保ちながら嚥下しやすい状態にできます。ミキサーにもかけやすいため、調理の手間を省けるのも嬉しいポイントです。
納豆やオクラ、オートミール米粥などのとろみの出る食材は、液体を加えて柔らかく仕上げることで、食べやすく栄養バランスも整えやすいです。飲み込む力が弱い方には、とろみ剤などで粘度をくわえるとさらに食べやすくなるでしょう。
介護食に向いていない食材
一方で、介護食に向いていない食材もあります。硬いものや、口の中でバラバラになりやすいものは、誤嚥のリスクが高まるため注意が必要です。
たとえば、ナッツ類や硬い肉、イカやタコなどの歯ごたえが強い食材は、咀嚼力が弱い方には向きません。
また、生の野菜や繊維質が多い食材も口の中でまとまりにくく、嚥下が困難な方には避けた方がよいでしょう。繊維質だと、繊維を断ち切らなくてはいけない調理法の場合、ミキサーや圧力鍋などを使っても繊維が残る場合があります。
残った繊維によって誤嚥や喉を詰まらせる原因につながるため、リスクを抑えるためにも繊維質な食材は極力避けるようにしましょう。
パンやクラッカーのような乾燥した食品も、口の中で水分を奪い、飲み込みにくくなるため水分補給が難しい方には不向きです。飲み込みにくくなると誤嚥リスクが上がるのはもちろん、脱水につながる危険性も高まります。
栄養バランスを考えて野菜を介護食に取り入れる場合は、なるべく煮込んで柔らかくしてから、ミキサーにかけたり漉したりして食事に取り入れる工夫が必要です。元々、ペーストになっている野菜を購入してみるのもひとつの手段でしょう。
介護食に適した食材を正しく選び、嚥下や咀嚼の機能に合わせて調理することが、安心して食事を楽しむためのポイントです。適切な食材を用いることで介護が必要な方にも栄養豊富でおいしい食事を提供し、健康を支えられます。
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まとめ
介護食は、食べやすさと栄養バランスを考慮し、個々の状態に応じた種類があります。嚥下機能が低下している方にはムース食やペースト食、比較的嚥下が容易な方にはソフト食など、適した食事形態を選ぶことが重要です。
適切な介護食を選ぶことで、食事を通じた楽しみや健康維持が期待できます。介護食はどのように調理すればよいか、どこに頼めばよいのか、などの介護職調理にお困りの方は、F&BTのサポートサービスをぜひご利用ください。
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