1. HOME
  2. ブログ
  3. コラム
  4. きざみ食とはどのようなもの?作る際の注意点を解説

BLOG

ブログ

コラム

きざみ食とはどのようなもの?作る際の注意点を解説

きざみ食で嚥下の負担を和らげ、噛む楽しみを残しながら安全に食事を続けられます。調理時の要点や導入メリット、注意点を詳しく解説し、介護現場で役立つ情報と活用事例を紹介して、さらなるサポートにつなげます。

介護や医療の現場では、咀嚼(そしゃく)や飲み込みが弱まった方を支えるために、食材の加工方法を配慮した「介護食」と呼ばれる食事があります。なかでも「きざみ食」は、食材を小さく刻むことで咀嚼(そしゃく)をサポートしつつ、できるだけ普段の食事に近い見た目や味わいを残せるのが特徴です。

本記事では、きざみ食の具体的なポイントや、ほかの食形態との違い、利点と気をつけるべき面をご紹介します。日々の献立作りや食事サポートの際にお役立てください。

きざみ食とはどのようなもの?

きざみ食は、5mm〜2cm程度の大きさに切り分けた食材を使い、 咀嚼(そしゃく)や飲み込みの動作が低下している方でも安全に食べやすいように配慮した食事形態です。

きざみ食に加工することで「口の中で噛み砕く負担を軽減する」と同時に、ある程度の形や風味を残して「食事のおいしさや楽しみ」を保ちやすくなるのが特徴といえます。以下では、きざみ食と混同されやすい介護食との違いを解説します。

ミキサー食との違い

きざみ食と混同されやすいのが、食材をペースト状にまで粉砕する「ミキサー食」です。ミキサー食は、ほぼ歯を使わなくても飲み下せるため、嚥下障害が重いケースなどでは役に立ちます。

ミキサー食はブレンダーやフードプロセッサーを使って、ペースト状や液状に近い状態まで細かくします。食材の形はほとんどなくなり、なめらかに仕上がります。

食材の見た目や食感が大きく変化するため「何を食べているのか分かりづらい」と感じる方もいます。ただし、咀嚼の負担が少ないため、飲み込みやすさは高まります。

こちらの記事では、ミキサー食について解説しています。メリット・デメリットも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

ソフト食との違い

ソフト食は、食材をやわらかく煮込んだり蒸したり工夫され、力を入れなくても歯ぐきや舌でつぶせるほどに仕上げた食事形態です。一見、同じように思われますが、見た目や形を保ったまま、口の中で崩れるほどやわらかく加工されているのが大きな特徴です。

加熱や水分調整などの工夫により、箸やスプーンで簡単に崩せるほどのやわらかさを実現しています。きざみ食とは違い、食材の見た目をある程度保っているため、食材の原型が分かります。「何を食べているのか」が視覚的にも認識しやすく、食事への意欲や満足感を得やすくなります。

また、ミキサー食ほど極端にやわらかくする必要がないものの、通常の食事では咀嚼が難しいという方に適しています。たとえば、歯や顎の力が弱くなっている高齢の方や、手術後で食事制限のある方などが対象となります。

ソフト食は「形は保ちつつ、歯や顎に負担をかけないやわらかさを実現する」という点で独自のメリットがあります。一方で、きざみ食は「刻む」という過程を重視しているため、ミキサー食とソフト食の中間的存在として位置づけられることもあるでしょう。

こちらの記事では、ソフト食について解説しています。作る際のポイントも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

ゼリー食との違い

ゼリー食は、寒天やゼラチン、増粘剤などを使って液体やペーストを固めた食事形態です。水分や栄養を補うことを目的に食材をゼリー状に加工したもので、口の中で溶けやすく、嚥下動作の負担を抑える役割があります。

固形物ではないため、やわらかい食感で舌や上あごで簡単につぶせます。また、きざみ食は主菜や副菜など日常的な食事メニューとして使われることが多く、通常の食事の延長に位置づけられます。

一方、ゼリー食は、水分補給や間食(補食)として使われるケースが中心です。食事量が少ない方には、必要に応じて栄養価を高めたゼリーも用意されるなど、体調や目的に合わせた活用がされています。

ムース食との違い

ムース食は、見た目や味は通常の料理に近づけながらも、やわらかく、なめらかな舌触りに加工されており、嚥下(えんげ)障害のある方や、噛む力・飲み込む力が低下した方でも、安心して食べられるように工夫されています。

食材をペースト状にし、ゲル化剤を加えて冷やし固めるなど、きざみ食と比べて加工に時間と手間がかかり、専用の調理工程が必要です。

型に入れて整形することで見た目が整いやすく、きれいに盛り付けられる一方、歯ぐきや舌だけでも崩せるほどやわらかく加工されているため、自然な食感や歯ごたえは感じにくくなります。あらかじめ一口サイズに形成されていることも多く、きざみ食と比べると噛む力がほとんど不要です。

こちらの記事では、ムース食のメリット・デメリットについて解説しています。適している人の特徴も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

きざみ食のメリットとデメリットは?

きざみ食は、噛む力や飲み込む力が低下した方でも、できるだけ通常の食事に近い感覚を保ちながら栄養を摂取しやすいよう考えられた方法です。上手に取り入れれば、栄養面と安全性の両立を目指しながら、食べる楽しみを保つ手段として大いに役立つでしょう。

ただし、メリットだけでなくデメリットも理解しておかなければいけません。それぞれの特徴を把握し、どのような方に向いているかをしっかり考えることが重要です。

きざみ食のメリット

きざみ食には、以下のようなメリットがあります。

1.咀嚼の負担を緩和できる
細かく刻んだ食材は噛み砕きやすく、高齢者や歯が抜けた方、歯の本数が減少した方にも適度なサイズで提供できます。顎関節の疲れも出にくいため、食事を最後まで続けやすくなるでしょう。

2.食欲や見た目への配慮がしやすい
ミキサーほど形が崩れないぶん、食材本来の色や風合いが一定程度残ります。利用者に「何を食べているか」を認識してもらうことで、満足度を高められる可能性があります。

3.多様な食材を取り入れられる
繊維が多い野菜や硬めの肉なども、小さく刻んでやわらかく調理すれば献立に組み込めます。栄養バランスを整えやすく、味付けや料理法のバリエーションを増やせる点はメリットといえます。

4.精神的ストレスを抑えやすい
完全なペースト食では抵抗感を覚える方でも、きざみ食なら「まだ普通の食材を食べている」という意識を持てることがあります。自分の力で噛んで飲み込む感触を、わずかでも残したいという希望にも応えやすいです。

きざみ食のデメリット

メリットがある反面、以下のようなデメリットも存在します。理解しておくことで作業者同士のトラブルなどを避けることが可能です。

1.調理に手間がかかる
食材を適切な硬さに仕上げ、細かく刻む作業は時間と労力がかかります。大量調理の現場や在宅介護でも「ひと手間多い」状態となるため、負担が大きくなる可能性があります。

2.誤嚥の危険性がなくなるわけではない
小さく刻むことで飲み込みやすさを高める効果は期待できますが、唾液不足や嚥下障害が重い場合は、かえって口の中でまとまりづらくなり、誤嚥を招いてしまう危険性もあります。一人ひとりが持つ嚥下の能力の把握が不可欠です。

3.見た目が同じようになりやすい
刻んだ食材を複数用意しても、どうしても単調な印象を与えやすく、食欲をそそる工夫が必要となります。彩りや盛り付け方にひと手間加えないと「どれも同じに見える」という不満が出るかもしれません。

4.個別調整が求められる
全員に同じサイズの刻み方を適用しても、ある人には大きすぎて誤嚥リスクが高まり、別の人には小さすぎて満足感が薄れる場合があります。定期的に利用者の様子を確認し、大きさ・やわらかさをこまめに再調整する必要があります。

きざみ食が向いている人

きざみ食は、噛む力や顎の力がやや低下してきたものの、ある程度の咀嚼(そしゃく)や飲み込む機能が保たれている方に向いています。

入れ歯や加齢によって顎の力が落ち、固いものが噛みにくくなった方、介護施設や在宅介護で日常的に調理が必要な方には、一般的な献立を活かしやすいため、家庭や施設での食事提供にも適しています。

また、肉や野菜などの繊維質な食材が食べにくくなってきたものの、ミキサー食やソフト食などでは「食感がなくて物足りない」と感じる方には、通常の食事に近い形のきざみ食が向いています。

きざみ食を導入する際は、利用者の嚥下機能や本人の意向、栄養士や医師のアドバイスを総合的に考慮して導入しましょう。

きざみ食を作る際に注意すること

きざみ食は、ただ細かく刻めばよいわけではなく、利用者の体調や口腔機能、好みに合わせた作り方が必要です。ここでは、きざみ食を調理時に意識しておきたい主なポイントを詳しく解説します。

唾液量や咀嚼力を見極める

具材を刻むだけでなく「実際に口の中でどの程度噛めるか」「唾液が十分に出ているか」を観察しながら調整するのが大切です。唾液が少ない方には、ある程度水分を含むように仕上げたり、とろみで塊がまとまりやすくしたりするとよいでしょう。

逆に「小さくしすぎると噛んでいる実感がなく、食欲が下がる」という方もいます。食べる本人がどの程度噛めるか、意見を聞きつつ最適なサイズを探る姿勢が重要です。

食材のやわらかさを意識する

刻む作業と同時に、加熱や調理法によって食材をやわらかくしておく工夫が欠かせません。硬い肉類や根菜などは、十分に火を通し細切れなどが望ましいです。

水分の少ない食材は口の中でパサつき、飲み込みづらさやむせ込みを誘発する場合もあります。煮込む、蒸すなどしっとり感を補うレシピも検討します。

栄養バランスにも気をつける

咀嚼力に合わせて献立を考えると、つい手間を省くために同じ献立が続きやすくになります。しかし、高齢者や体力が落ちている方ほど、タンパク質や炭水化物、ビタミン・ミネラルをバランスよく摂ることが大切です。

野菜や魚、肉、豆製品などを組み合わせて煮込み、仕上げに細かく刻むといった方法なら、複数の栄養素を一皿でカバーしやすいでしょう。彩りをプラスすると見た目への満足感も上がります。

とろみをつけるのもおすすめ

小さく刻んだ食材がバラけやすい場合には、とろみ剤やあんかけ式のソースを加えると、誤嚥リスクを抑えやすくなります。とろみを上手に使うことで、口内でまとまりやすい食感を作り出し、むせ込むリスクを小さくできるのです。

しかし「とろみが強すぎる」と逆に飲み込みづらさを感じる方もいるため、少しずつ調整しながら適度な粘度を探ることも重要です。介護スタッフや管理栄養士と相談のうえ、個々人に合った加減を目指しましょう。

F&BTでは、長年飲食業界で培ったノウハウを活かし、介護施設や病院などのご利用者様に明日への活力、元気の源となるような「食」を提供しています。ぜひご利用ください。

まとめ

きざみ食は、ミキサー食やムース食といった混同されやすい介護食とは違い、形や風味が残りやすい食事です。飲み込む力や顎の力が低下してきたものの、ある程度の咀嚼能力が保たれている方に向いています。

5mm〜2cm程度の大きさに切り分けることが一般的ですが、一人ひとりの状態に合わせて大きさを変える、とろみをつけるなどの工夫が必要です。

きざみ食を導入したいけれど「自分の家族にはどの形態が合っているのか分からない」「具体的なレシピや導入支援を受けたい」という方は、ぜひ、F&BTのサポートサービスをぜひご利用ください。

安全でおいしい食生活を実現し、咀嚼(そしゃく)や飲み込む力に不安のある方にも食事の楽しみを提供できるよう、全力でサポートいたします。また、管理栄養士が考えた献立をもとに食材をお届けする配達サービスも行っています。安心安全なお食事の提供をお考えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

F&BTでは、お客様のご希望やお悩みに合わせた、適切なサービスをご提案いたします。ぜひお問い合わせください。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事